タ世界を席巻した日本のテレビゲーム。そこには2つの理由がある。子供からお年寄りまで、説明書を読ませることなく、画面を見ただけですぐに遊べること。プレイ中に飽きさせないように、段階的な学習構造を備えていることだ。
本ソフトも同様で、ゲーム開発のノウハウが大量に詰まっている。冠婚葬祭やビジネスマナーなどのクイズ集かと思えば、さにあらず。画面をタッチした時の感覚や、問題がだんだん難しくなっていくバランス、毎日少しずつ進めさせるための手練手管などがすばらしく、つい毎日遊んでしまう。書籍でいえば編集に優れているのだ。
プレイできる問題は「礼儀」「知恵」「教養」「社会」「決まり」の5ジャンル。1日に出題されるのは2ジャンル10問まで。それも7~8問は難度が低めだ。気持ちよく正解を続けさせたら、難問を出題して「ネズミ返し」。ムカッとさせたら、今日はここまで。物足りない人は補足の問題群をどうぞ。5ジャンル制覇する度に、常識力検定で力試し。これって、RPGやアクションゲームと同じ構造だ。
WI-FIに接続すれば、全国平均が見られたり、地域ごとに得意な問題、苦手な問題などが出題される。なかなかおもしろいアイディアだ。ゲームを遊ばせてユーザーデータを集める。集めたデータを再活用する。パソコンソフトならスパイウェアと紙一重だが、コンソールなら無問題だ。この仕組みは他のジャンルにも活用できるのではないだろうか。
(小野憲史/1971年生まれ。「ゲーム批評」編集長を経て、フリーライターとして活躍中)
任天堂 エ3,068円